第45回 源さん、死す

- 燃えあがる最後の刃 -

 「寂しい事、言わんでください!」
 源さんは刀の時代の終焉を呟く土方にこう吐き捨て、己の守るべき信義の為に周平を庇い、敵の銃火の中へと1人身を躍らせる。
 その天然理心流の構え、威風堂々――
 まさに微塵の隙もなく、迫り来る銃弾(未来)すら弾き返す――
 が、その無敵の際は儚くも過ぎ去り、背負いし息子(近藤の息子であり、源さんの息子でもあり、新選組という刀の時代の遺児でもある)周平を振り向いた時、鬼の気は霧散する。
 全身に数え切れない銃弾を浴びる源さん。

 その時、枯れ木の如き刀の魂は、まさに最後の炎を燃やすのだ――
 そしてこの刀(新選組)の魂を明治の世になってもなお灯し続けるのは、1人で鉄砲隊に突っ込んで大暴れした斉藤一なのである(この辺が表現として、ホント良く出来ているよな)

 もう、真正面の熱血である。
 確かに清水演出は過剰だし、クサイ。
 ここで在りがちにマトリックスを引き合いに出して、偉そうに扱き下ろす事は容易だ。
 しかし、今回の清水演出――個人的には全然オッケーだぜ!
 理由は前述したような意味を充分に感じるからだし、何よりもクライマックスに向けてコレくらいの気概が作品のムード的に必要だと思うからだ。
 ただでさえ破滅へ向かう物語なんで、陰鬱になりがちなんだからさ。
 こんな展開に身を委ねる主人公たちだからこそ、その精神性はひたすらポジティブであって欲しいのよ。
 もっともこの状況で、土方だけネガティブ志向に描かれているのが興味深い。
 おそらくヤツは他の隊士と違って、ある意味ホントのサムライじゃないんだろうな……そう考えれば、物語を振り返ってみて結構合点がいく部分が多い


 ま、何にしても今回のお話は、まさに“源さん版・燃えよ剣”なんである(笑)


 その燃えさかる炎(源さんの魂)は、最後に近藤の部屋の“灯火”(近藤の魂)を激しく揺らし、そして静かに消え逝くのであった……


2004年11月18日(木) 





HOME