まずはこの新選組!という作品の、いわゆる歴史ドラマとしての最大の矜持。
歴史を俯瞰し大いなる流れそのものを描く為には、政治やいくさだけではなしに、市井の人々の在りようこそを描くべきである――という事。
近藤たちを取り巻く多摩の人々の丁寧な描写は、まさにその通りなんだろう。
だが、個人的に一番のポイントは例の永倉の居酒屋でのシーンだ。
まさかあの場面で祐天仙之助を討った大村達尾が出てくるとは思わなかったっす……
しかもいっぱしの渡世人になっており(成長して?)、いまだに祐天の子分衆に付け狙われてるみたいだし。
ま、平たく言えばヤクザの抗争なんだがね(笑)
外では天下国家の分け目でもある幕軍vs官軍なのに、江戸の街の片隅ではそんな事とは関係なく命を張ったケンカが、ありがちな出来事として行われている。
戦争であろうが平和なご時世だろうが、結局のところ一般の人々のやっている事は相変わらずなのである(左之助の息子に乳を与えるおまさの描写もその延長だよな)
戦争とヤクザのケンカという対比も三谷流の皮肉が効いてるし、それを見届ける永倉新八というのも意味深ではある。
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