J.L フッカーの路上ライブに聴き入る2人

ブルース・ブラザース (1980年)

- 個人的なスペシャル -

 今日は給料日ということもあり、DVDを見にヨドバシソフト館に行く。

 すると、何と探していた“ブルース・ブラザース”を発見!
 このソフト、収録されている予告編に問題があったらしく、発売直後に回収されてしまったのだ。
 以降、買おうと思って探していたのだが、結局見つからすじまい。
 当然即ゲット! むふふ〜

 以前この日記に書いた“明日に向かって撃て”もそうなのだが、この映画にも尋常ならざる思い入れがあったりする。
 せんだみつおのアテレコ版に、バブルガムブラザースのアテレコ版の両方ともビデオで持っていたし(現在は火事で焼失)、当然初ソフト化された時にはLDを初回購入した。
 サントラ1枚にライブアルバム2枚をレコードで所持しているし、勿論CDも2枚持っている。
 ドールも4体あるし……Switchのベルーシ・エイクロイド特集号などは、まさに大事な大事なお宝である。

 ……などと偉そうに書いてはいるが、実を言えばリアルタイムでは観てないのだな(苦笑)
 映画公開はおそらく中学2〜3年の頃だと思うが、あの頃の私はこの映画のパッケージに興味を引かれなかったらしいのだ。
 当時聞いている音楽も“KISS”や“浜省”だったし。

 ところがある日突然、重大な事に気が付いたのよ。
 主演が、あの“1941”の二人組みだと、ね。
 さて、ここで“1941”である。
 実はこの映画にも、特殊な思い入れがあったりする。
 内容云々は、この際話しがズレまくるので触れないでおくが……

 この歳になったから書ける話なのだが――
 この“1941”、実は初めて女性と二人っきりで観にいった映画なのだな(“女の子”ではなく“女性”である)
 私にとっては初恋だったんだろうし、今になって思い起こせばかなり浮ついた状況だった気もする。
 でね、当時の私って、その女性に色んな意味で影響を受けていたんですよ。
 映画の観方だとか、モノの考え方だとか……。
 そして中学卒業と同時に、諸事情でそのヒトとは会えなくなった。
 ――ぶっちゃけて言えば、失恋したんですな。
 そんな時期に、何かの雑誌でこの“ブルース・ブラザース”というタイトルに出会った、と。
 “1941”の主演二人組みが、次に参加した映画。
 当時スッゴく落ち込んでいた私は、ただそれだけの理由でこの映画を無性に観たくなったのだな。

 しかしロードショウ公開はとっくに終了していたワケだし、今みたいにビデオレンタルがあるわけじゃない。
 つまり、観たいけど観れない。

 そんなこんなで、いつしか映画の存在が私の記憶から薄れようとしていたその矢先、テレビ放映が決定されたワケだ。
 ベルーシの声はせんだみつお。
 クールダウンの期間があったせいか、興味はかなり冷めていたのだが、それでもしっかりビデオに“標準”で録画する事を決意する。
 放映された内容は、今にして思えば散々だったはず。
 30分以上の本編カット。
 お世辞にも巧いとは言えない、アテレコ。
 当時、実家のテレビ&ビデオはモノラルだったし…
 しかし、それでも放送後の私は、まさに脳天から稲妻で貫かれるような衝撃を受けていたのである。
 で、次の日には上通りにあるウッドストックや、向かいにある中古レコード屋にダッシュしていたという(笑)

 初めて聞き知る、ブラック&ソウルミュージック。
 スタイルも含めた、R&Bのカッコよさ。
 ここでこの映画に引っかからなければ、後のウォルター・ヒル作品にもカッコよさを見出せなかったに違いない。
 音楽もそうだが、ダンスもそう。
 エルウッドの間抜けなステップが、何てカッコ良く見えるんだろう!

 エルウッドといえば、あの狭っ苦しいアパート(ねぐら)がメチャカッコいいんである。
 どーみても劣悪な環境なのだが、不思議とあの部屋に羨望を感じるんだよねぇ……

 お気に入りのレコード・コレクションに、これまた彼の人生において必要不可欠であろう“トースター”
 直ぐ傍らを通る列車の轟音すらも、彼にとっては子守唄のようなモノなのか――

 もっともキャリーフィッシャーにミサイルを打ち込まれて、物語序盤で全壊の憂き目にあうが(笑)
 キャリーといえば、何つっても相対したジェイクがサングラスを外したシーンだよね。
 ヤツの素顔が、これまたイカスのだ。
 ジョン・ベルーシってのは一見デブの三枚目風に見えるが、実はかなり男前な俳優なんである。
 ちゅうか、あの子供のような瞳は反則だろ(笑)

 それと食いモンが、メチャ旨そうに見える映画でもある。
 例の高級レストランの場面といい、エルウッドのドライ・トーストといい(笑)
 そうそう、J.L.フッカーの演奏するシーンにおいて、路上で販売されているソウルフードの、これまた美味そうなこと!
 何だかんだで、迎えるはクライマックス――
 破滅に向かって爆走するブルース兄弟に、“ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド”の背中が垣間見えた時――私のこの映画への想いは、頂点に達したようだ。

 そしてエンドクレジットの“監獄ロック”に、私はある種の「気合い」を貰い受けたのである。

 「気合い」……つまり「元気」といっても良い。
 少なくとも、ひどく落ち込んで日常を送っていた当時の私にとって、大きな支えの一つとなってくれていたのは、否定できない事実だろう……何とも青臭い話ではあるがね。

 思春期にあーいった関わり方をする作品は、そう多くない。
 だからこそ、“明日に向かって撃て”といい、この“ブルース・ブラザース”といい、今だに個人的な“スペシャル”となっているのだ。
 こーいった映画って、あと1〜2本はあるのかね?
 しかしこのDVDも、サービス一杯だぁ。
 LD化の時点で完全ノーカットだとばかり思っていたのだが(帯にはそんな事が書いてあったような……)、まだあれだけの未公開シーンがあったとはね。

 特に面白かったのが、ブルースモービルの格納シーン(一体どこに格納してんだって(笑)
 サーチライトを使ったりして妙にギミックに凝っており、ダン・エイクロイドの熱い拘りが感じられるのが実に良いっス。

 ホントに、こと映画のソフト化においては、今って幸せな時代だよなぁ……
 次は何を買おうかしらん。
 
   

2002年2月26日(火) 



 さて、このレヴューページを作成する為に、先日“ブルースブラザース”を観なおしたワケだがね。
 やっぱ“ブルースブラザース2000”を見た後だと、また妙に感傷的な受け止め方をする羽目になるのな。

 つか、冒頭の出所するジェイクを出迎えるエルウッドに泣けてしまい、孤児院では2人の父親代わりでもあるカーティス(キャブ・キャロウェイ)の姿に、これまたジンワリと来てしまう……
 ブルース兄弟のブラック・スーツって、カーティスのコピーだったんだよねぇ(シミジミ)
   初めに断っておきますが、“2000”って個人的にはどーしようもない失敗作だと思っとります。
 全編通して映像があまりに薄っぺらいし、脚本も散漫。
 ブルース兄弟を4人に増やしたのも×なら、豪華メンバーによる“ルイジアナ・ゲイター・ボーイズ”も、全然魅力的な“バンド”に見えない。
 trekさんも言っていたが、マジに映画というよりもTVのバラエティーレベルな映像作品なんである(確かに連中は“サタデーナイトライブ”出身なんだけどさ。何つっても1作目では、アレだけのモノを作ってるんだからさぁ……)

 ただあの続編―― 現実の“時の流れ”をストレートに表現した部分だけは、高く評価しているのよ。
 ベルーシにキャロウェイ、それに警官役のジョン・キャンディは、既に“2000”制作の時点で他界している。
 そこで有りがちに代役を立てなかったのは正解だと思うし、そのお蔭で“2000”は元より、遡って1作目にすら、他に例を見ない“付加価値”がついたとも言えるのだ。
 つまり戯けたコメディ調のフィクションなのに、描写の端々に妙なリアリティを感じるっていうかさ。
 特にエルウッドが“2000”で見せるキャラクターの変化は、痛々しいほどである。
 “ジェイクの死”とは“ベルーシの死”であり、エルウッドの感じている弟としての悔恨は、エイクロイドが持っているであろう“ベルーシの友人”としてのソレにオーバーラップしてしまうのだ、どうしてもね。

 そしてそんな必然の未来(2000)を前提として再び鑑賞する“1作目”は、これまた何とも切ない物語として受け止めなきゃならなくなるのだ。

 劇中でブルース兄弟が、バカをやればやるほど……
 無鉄砲で、無軌道であればあるほど……
 カーティスが子供たちの中心で笑顔を見せれば魅せるほど……

 無常感に包まれ、遣る瀬無い想いでいっぱいになるのだ。
 初見の際は、あんなに元気で楽しかった1作目なのに(ある意味“2000”は出来不出来に関係なく、観ない方がいい映画なのかも)
 結局ブルース兄弟は1作目の時点で、人生の選択を間違っていたのか?
 若気の至り、っていうかさ。

 確かに未来のエルウッドは、様々な事について後悔しているフシがある。
 しかしそれでも、彼は未だ“自分たちを導いてきたブルース・サウンド”を捨て去る事ができないでいるのだ。

 考えてみれば1作目では、サウナに入る時すらもサングラスを外さなかった“彼ら”である。
 つまりどんなに服を脱ぎ裸になろうとも、最後に残る“嘘偽りの無いココロ”だけは脱ぎ捨てる事など出来はしないのだ。

 そこで思い起こすのが、このフレーズである。

 曰く―― 「ブルースは絆」



2005年12月15日(木) 




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