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PRIVATE CD REVIEW
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FAVORITE CD Act.001
THE DAMNED - MachineGun Etiquette


damned
マシンガン・エチケット
(Amazon)
そもそも私が、世界で一番好きなバンドなのだ。
正直、どのアルバムも甲乙付けがたい。
しか〜しキャプテン信者なオレは、何が何でもこのアルバムを1番にあげなくてはならんのだな。
無論、名盤の誉れ高い1stを差し置いてもね。
だってもしあのままブライアンがバンドの音楽性を引っ張ってたら、キャプテン節大爆発の名曲“SMASH IT UP”はきっとこの世に存在しなかっただろうし、引いては後の比類なき大傑作“DISCO MAN”も産まれなかったのだ。
――ということは、オレもここまでのダムドマニアにはなってないよなぁ、間違いなく(笑)
ま、2ndアルバムみたいな中途半端な作品が一番イカンよね。

兎にも角にもこのアルバム、ハイスピード&情感たっぷりのメロディがちょっとB級(キッチュ)な英国ポップって風情で、もうR&R最高! ――なんである。
1曲目の“LoveSong”から、続いての表題曲“MachineGun Etiquette”への流れは何度聴いても鳥肌モンだぜ!!

FAVORITE CD Act.002
CAPTAIN SENSIBLE - The Collection


sensible
The Collection
(Amazon)
幸せである……もう、とってもハッピーである。
それは何年もずっと待っていたアルバムが、ついに歪ながらもCD化されたからである。
私が最も敬愛するミュージシャン――キャプテン・センシブルには、初期のA&M時代に発表した2枚のソロアルバムあったのだ。
アルバムのタイトルは“Women And Captains First”と“The Power Of Love”
両方ともポップス&ロックンロールの大傑作アルバムで、私も当然というか何というかLP盤は持っていたのだが、残念ながら今日までCD化はされていなかったのだ。
この2作品にはCD化を熱望していたファンも多く、内外問わずいろんなHPでA&MへのCD化要望が書かれていたりもした(イギリスのファンサイトでは、署名を集めているトコもあった)
しかし、もうかれこれ20年以上昔の作品である。
今までCD化されなかったのにはそれなりのワケがあるんだろうし、案の定キャプテンとA&Mの間に契約上の問題があったらしく、どこぞのファンサイトにおいてCD化不可能というA&M側の声明が書かれてしまったのだ。
まさにファンはしょぼ〜んである(オイラもな〜)
と・こ・ろ・が……つい最近、ベストアルバムという形で、別レーベルからかなりの楽曲がCD化されたのだな。

タイトルは”Captain Sensible 〜 The Collection”――何とも適当なネーミングである(苦笑)
ジャケットの方も……まぁアバウトこの上ない。
まぁ、LPジャケットは持ってるワケだし、そこんところは目を瞑るとしよう。
問題は中身であるよ、うん。
なんつっても“ベスト盤”なワケだし、収録曲名がAmazonのオーダー表に載っていなかったものだから、いらん不安を募らせてしまうのも仕方あるまい。
よくよく考えてみれば中身の詳細が判らないのに、A&M時代のベストというだけで購入を決定した俺なのだ ――いかに切羽詰った気持ちでオーダーしたか、解っていただけると思う(笑)
で、いまAmazonから届いたCDを聞きながらこの文章を書いているのだが……
元々の2枚で併せて24曲だったのが、このベスト盤では全19曲である。
削られた楽曲にも思い入れの強い曲はあったが、まぁトータルで見れば妥当な選曲だろうさ。
本当なら2枚組にして欲しかったのだが……それでは“ベスト盤”じゃなくなる罠(笑)

ま、このCDの仕様についてアレコレ述べるのは、此処までにしておくとしよう。
今は唯々キャプテンのポップワールドを、心行くまで堪能するのが吉。
“Happy Talk”のオリジナルヴァージョンが収録されているのは至極当然だが、一番危惧していた“Sir Donald's Son”が収録されていたのは非常に嬉しい!
この“Sir〜”は非常に短くシンプルな曲で、次に続く“It's Hard To Believe I'm Not”のプロローグ的な楽曲なのだが、むちゃくちゃメロディが良いんだよな。
キャプテン独特の哀愁感がたまんない!(笑)
純粋にメロディだけとれば、この“Sir〜”と“Brenda”、“Thanks For The Night”(この曲はダムドのレパートリーでもある)が、やはり一押しだな。
しかしアレンジ面では時代を感じさせる部分が多々あり(特にリズムパートがね)、どうしてもチープな印象は拭えないが、それすらもキャプテンの音楽の持ち味だからな。
決して上等な(ア〜ンド上品な)音楽ではないが、やはり俺にとっては、20年の歳月を超えて愛しさを募らせる楽曲たちなのである。
歌詞や曲名はハードなテーマを内包しているはずなのに、シニカルがハートウォーミングに、ダークがラブリーに変換されていく。
キャプテン・センシブルは世界に絶望しながらも「世界はこんなにも素晴らしい」と心の底から“囁き続けている”のだ。
ま、素直なヒトじゃないからな〜
どこまでが演技でどこまでが地なのか、長年ウォッチャーをしていてもよー判らんが(笑)
でも、とりあえずこのまま一生、キャプテンの音楽について行くんだろうなぁ……オレってば。
2003年8月17日(日)の日記より


FAVORITE CD Act.003
THE STRANGLERS - No More Heroes


stranglers
ノー・モア・ヒーローズ
(Amazon)
音の方向性は、ヒジョーに判りやすく表現すれば“ドアーズっぽいパンク”
これは偏にデイブ・グリーンフィールド(キーボード)のせいだと思われるが、それ故に初期パンブームに便乗して沸いて出た、有象無象の他バンドと一線を画したのも事実。
ボーカルは2人いるが、個人的には“ドスの効いた”サブのJ・J・バーネル、最高っス。
その際立ったベースプレイと共に、ホント抜群の存在感だよね。
このアルバムの収録曲ではないがJ.Jがボーカルをとる“Go Buddy Go”などといったナンバーでは、あまりにスタンダードすぎるロックンロールでありながらも、一種独特な“ストラングラーズならでは”の勢いとカッコよさで聴かせてくれるのだ。

ま、何にしてもストラングラーズは、やはり3rdの“Black And White”までがスゲェよな、勢いっつーか、熱さっつーかさ。
で、その中から1枚を選ぶとすれば、やはり表題曲“No More Heroes”が収録された、このアルバムしかないのだ。
そう、この曲はあの時代のロンドンにおいて、とっても大事な意味合いを持つのである……

FAVORITE CD Act.004
THE WILLARD - Good Evening Wonderful Fiend


willard
廃盤
確かにこのアルバムには――名曲“Stinky Vice”は勿論、このサイトの名前にするほどに思い入れのある“Rising Rider Drive”すらも収録されていない。
だがそれでも「ウィラードで一番カックイイのはこのCD」だと、断言できる。
もう、収録された全曲がイイ。

――と書きつつも敢えて1曲だけ、“Born in The Far East End”を強く推しておきたい。
なんつーか洋楽&ロックファンには、たまらなく切実でリアルな曲なのだな。
何故なら“ROCK”ってのは、本質的に日本の音楽じゃないんだもの。
ましてやそれを実際に演奏するミュージシャン側のコンプレックスは、いかばかりか?
“本場のロック”に対してピュアであればあるほど、「日本人なのに“外国の音楽”をプレイする」というジレンマは増すんじゃないのか?
そう考えればJUNの「海外での活動は考えていない」発言も酷く納得できるし、完全洋楽志向の作曲も共感できるのだな(ま、単なる“ダムドマニア”なのかもしれんが(笑))
加えて彼らがステージ上で見せる、まるで死神のようなメイクに海賊の如きファッションも、そういったメンタルな意味における“脱日本人”の為の、必要不可欠な手続きなのかもしれないね。

で、ウィラードという極東の1バンドは、“ROCK’ROLLに対する幻影”を追い求め、「たった一人で闇の中〜♪」――というワケなのさ(おっと、この曲は別のアルバムだ)

FAVORITE CD Act.005
TOM WAITS - Small Change


TOM WAITS
Small Change
(Amazon)
大学を卒業し親元を離れた私は、いつしか毎月1本の――いわゆる“独り酒用ボトル”を傍に置いておくのが習慣となっていた。
初めて購入したのは当時1000円程度のサントリーモルトウィスキーだったっけ(正直、国産ウィスキーはどんなに高価な銘柄でも口に合わんのな。何んでかね?)
それからイロイロ試行錯誤した結果、スコッチ〜バーボン系に行き着き、現在はラム・ウォッカを加えての順繰りローテーションとなっている。

で、そんな20代前半の“独り酒の味”を憶えた頃――とある先輩に何枚かのCDを薦められる。
その中の一枚が、このトム・ウェイツのアルバムだ。
まさに僥倖、である。
ブルージィでジャジィ……夜のとばりの中で“酔いどれ詩人”は独り、酒枯れした喉を搾り出す。
酔っ払いだからこそ許される、そのドラマティックな音楽性は、やはり同様に酔い浸るリスナーにとって、最高の酒の肴になるんだよねぇ……(缶チューハイばかりを飲むお子様には、その良さはワカランかもしれんが(笑))

FAVORITE CD Act.006
KEITH RICHARDS - Talk Is Cheap


Kieth Richards
トーク・イズ・チープ
(Amazon)
確かにストーンズは、最高にカッコイイ。
じゃ、どのアルバムが一番か?――と考えると、これが凄く難しかったりする。
当たり障り無く“スティッキー・フィンガーズ”あたりか、それともチョットしたり顔で“サタニック・マジェスティーズ ”を選ぶか?
が、しかし折角だからね、此処は一つ私が“リアルタイム”で体験したアルバムの中からチョイスする事に。

で、何故かキースの1stソロの登場だ(笑)
だって個人的に感じるストーンズサウンドのカッコよさが、この“Talk Is Cheap”には「より純化された形」で凝縮してあるんだもん(対してミック・ジャガーのソロはどれもストーンズっぽくないので、私的には全く持ってアキマヘン)
当時、キースはチャック・ベリーの記録映画“ヘイル・ヘイル・ロックンロール”(傑作!)をプロデュースしており、自己の音楽的ルーツへのリスペクトに余念のなかった時期でもある。
おかげでこの初のソロアルバムは、シンプルにしてストレート、尚且つブルージーなロックアルバムに仕上がっており、個人的には万々歳なのだ。

そういやしばらくの間、私はこのアルバムを目覚まし代わりに聴いていたっけ。
――起きぬけの頭にエンジンを掛けるにゃ、丁度イイ具合なんだな、これが。

FAVORITE CD Act.007
BURT BACHARACH - Casino Royale


Burt Bacharach
Casino Royale
(Amazon)
大好きな、とっても大好きなバート・バカラックのカジノ・ロワイヤルである。
サウンドトラックとしては“明日に向かって撃て!”のアメリカン・オシャレ・カントリー(なんじゃ、そりゃ)な感じも捨てがたいが、やはりブリティッシュ・オシャレ・ポップ風味なこのアルバムの方が、私的な“好みゲージ”は上みたい。

確かにオーケストラからジャズ、ポップス、ゴーゴー(笑)、果てはアイリッシュ民謡からインド風サウンド――と、あまりに多種多様なジャンルによる「組曲になっているようで、実は適当に繋げただけなんじゃ?」な、ゴチャマゼ感の強すぎる構成ではある(無論“カジノ・ロワイヤル”という、映画自体の方向性が原因なのだが)
が、一旦天才バカラックの手に掛かれば、その洗練された美しいメロディとアレンジによって、何ら違和感なくアルバム全体が統一されてしまうのだから、正直言って凄いの一言。

とにかく聴いているだけで、どんなに鬱な気分でも即座にワクワクハッピーな気分になれるという、スグレモノの1枚だ(ある意味“癒し系”?)
映画の方もイロイロ酷評されてはいるが、個人的には大好きな作品である。
異様にオバカな映画なのは間違いないがね〜(笑)

FAVORITE CD Act.008
THE POLICE - Regatta De Blanc


The Police
白いレガッタ
(Amazon)
頭の良い連中である。
パンク〜ニューウェーヴのムーブメントを旨い具合に利用しながらも、確かな技術とセンスに裏付けされた優れた楽曲を次々と発表し、あっという間にジャンルの枠組みを飛び越え、世界的なロックバンドとしてスターダムを駆け上ってしまったのだから(後にスティングも語っているように、当時彼らはデビューにあたって頭髪を金色に染め上げ、PUNKSの“フリ”をしなければ“ならなかった”のだ)
もし彼らがスタート当初からその豊かな知識や技術を“売り”にし、歳相応に“アーティストぶって”ミュージックシーンに登場していたら、あれほどの成功は得られなかったんじゃなかろうか?
あれだけの栄華を誇っていた幾多のプログレバンドが、パンク〜ニューウェーヴを境に瞬く間に衰退していった事実を考慮すれば、そう見当違いな推測とも思えないのだ、これが(アンディ・サマーズがソフトマシーンを抜けてポリスに参加しているのも、ある意味すごく象徴的)

ま、何にせよ、「ヒジョーに洗練された、シンプルなポップロック」がポリスというバンドの持ち味であり、この2ndアルバム“白いレガッタ”の時点で、早くもパンク的な要素を捨て去り、その際立った音楽性をほぼ完成させているのだな(正直、1stはよく出来た“パンクもどき”な作品でしかない――“ロクサーヌ”のような、“ポリスらしい”ナンバーもあるにはあるのだが)
レゲェやアフリカンビートをベースに、巧みなギターや最低限のキーボード・フレーズで、奥行きのある一種独特な音楽的空間を創出する――
そこにスティングの多少アクが強い(訛った?)……哀愁的なボーカルが乗っかるのだ……まさに唯一無比な存在ではあります。

個人的には“Walking on the moon"って、物凄い音楽的発明だと思ってたり。

FAVORITE CD Act.009
BUZZCOCKS - Going Steady


Buzzcocks
Going Steady
(Amazon)
パンクミュージックというものは、世間的に一体どう捉えられているのだろう?
ただ直情的に喚き叫ぶだけの、あまりにノイジィでヘタっくそなロックサウンド――ってところかね。
ま、確かに“そういったバンド”も多々存在するし、否定はしない。
しかし実際は楽曲的に優れているバンドも多いし、みんな結構なポップチューンだったりするのだな(ポール・ウェラーやエルビス・コステロあたりは、元々パンク出身である)

で、今回レヴューするバズコックスだ。
ロンドン初期パンクの真っ只中で活動してはいるが、ピストルズやダムドといった“大御所パンク”に比べてどこか地味な(笑)B級バンドだったりする。
田舎(マンチェスター)の大学生たちが、ロンドンでピストルズのライブにショックを受けて、“地元”で結成したのがこのバンドのスタートで――って、もうこの時点で、シド・ビシャス的な華やかさは望むべくもなく(笑)
しかしその分、音楽に対する思いは、“都会モン”のソレよりもピュアだったのかもしれない。

この“going steady”はシングルスとなっており、ある意味ベスト盤とも言える構成となっているのだが――もう、どの曲もメロディがイイ!
甘く切なく、そして何処となく胸キュン(大笑)……聴いていて何つーか、とにもかくにも“青春”なんである。
疾走感溢れるビートも、ストレートで飾り気のないアレンジと相まって、若さ爆発なカンジがウレシハズカシで、もうタマランッス。
おそらくはパワーポップあたりの、直系ルーツとなるバンドなんだろうねぇ……

FAVORITE CD Act.010
NAZZ - Nazz


Nazz
Nazz
(Amazon)
美しいメロディ、というものが大好きである。
もっとも――どこがどう美しく、またはどう美しくないか、明確な基準を説明しろと問い質されても、音楽的基礎知識の全くないオレには何とも答えようがないがね。
唯々大半のリスナーと同様、オレ個人の感受性で判断しているだけなのだから、ここで語ろうとしている「美しさ」もあんまり確実性があるワケじゃない(笑)
とはいえ、万人が認める「美しさ」というのもまた、確かに存在する。

そこで今回のフェイバリット〜ナッズである。
つまりは“あの”トッド・ラングレンの事だ。
このヒトの作るメロディは、とにかく美しい――もう間違いなく、極上のポップである。
で、スタジオワークにのめり込む彼本来の仕事よりは、このデビューアルバムの方が個人的には“一推し”だったりするのだな(単純に“バンドっぽい”サウンドの方が好みなんである)
“Open My Eyes”は勿論、珠玉の名曲“Hello,It's Me”に酔いしれよ!
間違いなく、「音楽が表現できる美しさ」の一つがここにある。

――聴けばワカル(笑)

FAVORITE CD Act.011
THE STREET SLIDERS - Angels


STREET SLIDERS
天使たち
(Amazon)
稀に見る、見事なロックンロール・バンドである。
だってストーンズに対する限りないリスペクトと、己が内にある日本人としてのメンタルを見事に融合させているのだから。
つまり言い方を変えれば、モノホンなロックのカッコよさと共に、邦楽的なリアリティを併せ持っているという事なのだ。
これは生半可なキャラクターじゃ、押し通す事が出来ないよ。
ま、ひとえにボーカル&ギターの“ハリー”こと村越弘明の持つ独特の存在感(チンピラ臭い、とも言うが(笑))と、その二面性の発露が要因なんだろうけどね。

このアルバムの収録曲で判りやすく説明するなら“Back To Back”は「ハリー」が唄い、“蜃気楼”は「村越弘明」が唄っている……そんな感じ方だ。
面白いのが“Party is Over”と、その直後に続く“嵐のあと”である。
曲名を見れば判る通り、両方とも似たようなニュアンスの曲なんだが、歌詞〜曲調共に、その表現方法が正反対なのだな(つか、ステージ上の“ハリー”から“村越弘明”にチェンジする刹那の心象変化、とも言えるか)

で、実際のライブ映像を観てみると、妙に説得力があるんだよ、その佇まいにさ。
つまり「村越弘明」という人間が、“気勢を張り、つっぱっている姿”とも受け取れる「ハリー」という人物像を、ステージ上で無理やり演じているようには見えないのだ。
もちろん蘭丸や他のメンバーも、それに近い存在感を持ってるし――ホント、奇妙な人達である。
どーいう生き方をすれば、あーなるんだ?(笑)

FAVORITE CD Act.012
ENNIO MORRICONE
- Le Colonne Sonore Originali Dei Film Di Sergio Leone


Ennio Morricone
廃盤
“荒野の用心棒”から“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”までの、全セルジオ・レオーネ監督作品を網羅した、まさに決定版的オムニバス・サウンドトラックである。
もちろん、作曲は全てエンニオ・モリコーネ。
各作品から特に印象深いタイトルが3〜5曲ずつ選ばれており、飽きる事なく最後まで聴き通せるのがナイスである。
後期の円熟味を増した豊かなモリコーネ・サウンドも良いが、個人的には初期〜イーストウッド主演三部作の“若さ”や“勢い”を感じさせる、根源的な迫力に満ち満ちたサウンドが、よりいっそうのお気に入りだ。
つか、続・夕陽のガンマン、サイコー! 黄金のエクスタシー、キタキター!……なんである(笑)

しかしこういったモリコーネ・サウンドって、俺らが物心付いた時には当たり前に存在していたからなぁ……
これ以前――っていうか、モリコーネが一体どういった音楽の系譜を勉強し、そして創作して言ったのかが、皆目見当が付かんのよ。
ぶっちゃけ、このエレキベケベケサウンドとかを西部劇のBGMに使用する事自体が、当時の映画界ではメチャ革新的なアプローチだったんじゃ?
ま、続・夕陽のガンマンのメインタイトルを冷静に聴き込めば、当時におけるモリコーネ・サウンドの“前衛”具合も推し量れようというもの。
インディアン的な太鼓の音に、空気を震わすコヨーテの叫び声、呼応する梟の鳴き声にガンマンの口笛、そこへ被さる力強くダーティな男性コーラス、漠然と“黄昏(死)”をイメージさせるエレキ・ギター、そして騎兵隊の進軍ラッパが、男たちの勇壮なる戦いの幕開けを告げるのだった――
とまぁ構成だけみても、すげぇドラマチックな内容なんだよな、これが。

しかし何よりも、だ。
ラロ・シフリンあたりもそうだが、聴いてるだけでこれほどまでにアドレナリンが吹き出てくるサウンドって、そうは無いのだよ、うん。

FAVORITE CD Act.013
IGGY & THE STOOGES - Raw Power


IGGY & THE STOOGES
Raw Power
(Amazon)
アートロック〜プログレッシブロックといったインテリ勢力は、確かにロックという音楽のジャンルを、一段階底上げしてくれたのかもしれない。
しかしそれが原因で、ストリート・キッズが「楽器を手に取る」といった行為を、ひどく敷居の高いモノにしてしまった側面もあったのだ。
つまりライブを観ても、「あんなの、オレらには出来ねぇ」のだ。
で、解体と再創造の役割を持って、必然としてのパンク〜ニューウェイブ・ムーブメントが始まったのだな。

とはいえ、こんな現象はこの時が何も初めてではない。
古いものへの破壊衝動とは、いつの時代においても定期的に渇望されるのだろう。
そう、パンク以前には、“彼ら”こそが絶対的なロックの破壊者であった(いわゆるビートルズ的なミュージックシーンに対して)
デトロイトの“MC5”……そして未だカリスマとして崇め奉られている(笑)“イギー・ポップ”である。

さて、この3rdアルバムのタイトルは“Raw Power”――直訳すれば“粗野で未熟な力”だ。
まさに後年でいうところの“パンク・スピリッツ”大爆発であり、ロック本来の攻撃性が見事に発揮されている、まさに名盤中の名盤!
ぶっちゃけサウンドの方向性は、当時仇花的に流行していた“グラム・ロック”のスタイルである。
しかし1曲目の“Search And Destroy”などは今聴いても、最高にカッコイイからなぁ。
こういうスタイルは、もう永遠不滅なのだな(よくパンクバンドがイギーのカバーをしているが、伊達じゃあないってこった)

もちろん、彼らがミュージックシーンの破壊者第1号というわけでもない。
2曲目に収録された“Gimme Danger”を聴けば、イギー・ポップを培ってきた“とある偉大なミュージシャン”の存在がよく判るはず。
音楽とは、破壊と創造を繰り返しながらも、常に次の世代へと受け継がれていくものなんだねぇ……

FAVORITE CD Act.014
DAVID BOWIE - The Rise And Fall Of Ziggy Stardust


DAVID BOWIE
ジギースターダスト
(Amazon)
不特定多数のロックファンに対して「歴史的名盤を挙げよ」と問いかければ、少なくともBEST.50くらいには必ず入るだろうと思われるアルバムである。
まさに至高の名盤と言えよう。

いわゆる“地球に落ちてきた男”こと、天才デビッド・ボウイの演劇性が如何なく発揮された、コンセプト・アルバムの見本みたいな作品でもある。
とはいえ、ここではその“コンセプト性”については、深く言及すまい――他所で散々語られているだろうしな(笑)(しかし英国人って、こういうのがホント大好きだね〜 ザ・フーのトミーとかさ。クィーンにいたっては、ボウイ無しでは存在そのものが考えられないもん。あ、いや、決してバイセクシュアルがどうの、という話ではないよ(笑))

何よりも、サウンドである。その秀逸なメロディである。
“Starman”“Lady Stardust”、そして表題曲の“Ziggy Stardust”――
どの曲も1度聴いたら忘れられないほどにキャッチーであり、リスナーに深い印象と感銘を残す作品となっている。
実際、このアルバムに収録された楽曲たちは、30年の年月を経た現在でも時折りコマーシャルで使用されるほどに卓越したメロディを持っているのだ。
あまりロックに詳しくない人たちですら聞き覚えがある、という意味では、あの“ビートルズ”に匹敵するのかもね。

今、実際にアルバムを流しながらこの文章を書いているのだが、ホント何度聴いてもドップリと浸れるんだよ。
漂う無常感と、それに付随するロンリネスとサッドネス……ああ、英国的だよなぁ、つくづく。
後に“モット・ザ・フープル”へ加入した名ギタリスト〜ミック・ロンソンも、実に良い音を聴かせてくれるし――
何よりも、クライマックスの“Hang Onto Yourself”〜“Ziggy Stardust“〜“Suffragette City”の流れは、ミーハーに燃え燃えなんである(笑)

FAVORITE CD Act.015
HELEN MERRILL - Parole E Musica


Helen Merrill
ローマの
ナイトクラブで(Amazon)
いわゆる、女っぽいオネェちゃんが好きである。
つまり、艶のあるオネェちゃんが好みなんである。
具体的に言えば、賢しく見えて、実はオバカなオネェちゃんが可愛いんである。
とはいえ、逆にオバカに見えて、実はしっかりとしたオネェちゃんなんかも、ある意味最高である。
そして、やはりというかなんと言うか、“ブロンド娘”にはミーハーに憧れていたり。
南仏を舞台にした映画によく出てくる、バカンス中の小生意気な仏蘭西娘とか、ヒジョーに良い。
だが、しかし――都会的なアメリカ女も捨てがたい。
黒のイブニングドレスが似合う、しっとりとしたジャジーな夜の歌姫……
そう、“恋のゆくえ”のミシェル・ファイファーのような――

つまり“ヘレン・メリル”は、最高にワタシ好みなんである。

助平そうなイタリア男(偏見でございます)との駆け引きもスリリングに、夜のとばりを“天使の溜息”が覆い尽くす……

FAVORITE CD Act.016
THE JAM - In The City


The Jam
イン・ザ・シティ
(Amazon)
ロンドンパンクでもっともモッズ色の強い、ザ・ジャムの1stアルバムである。
しかし彼らは遅れてきたザ・フーと揶揄されながらも、決してフーの後継者なんかじゃなかったのだ。
勿論メンバーは、常々ピート・タウンゼントらへのリスペクトを口にしている。
しかしそれはあくまでも、彼らの中に根ざす“リアリティ”ってヤツに忠実だっただけ――
何故ならジャムの弾き出すタイトで勢いのあるロックンロールは、間違いなく“あの時代”に息づくサウンドなのだから。
もっともロンドン・パンクスにはあまり似つかわしくない(笑)、過分なインテリ臭さを感じはするがねぇ……

この1stアルバムで言えば、どことなく“パブロック”っぽい雰囲気もあり、個人的にはジャムのどのアルバムよりも好みだったりする。
ジャケットに映える連中のスーツ姿も存外にキマッて見え、あの聴き馴染んだ“バットマン・テーマ”の早急なビートが、リスナーの気分を最大限に盛り上げてくれるのさ!

しかし自分の中のリアリティに忠実なポール・ウェラーは、年齢を重ね大人になったとたんに“大人のポップ”へとステップアップしてしまうんである(あの有名なオシャレバンド〜“スタイル・カウンシル”の誕生である)
ま、ダムドみたいに、いつまでもガキでいられるバンドじゃなかったんだろうがね……残念無念。

FAVORITE CD Act.017
すぎやまこういち - 伝説巨神イデオン

IDEON
伝説巨神イデオン
(Amazon)
今回は悩んだなぁ、実に。
大好きな“すぎやまこういち”の作品から一枚だけ選ぼうとしたのだが、これが非常に難しい。
オーケストレーションだけで選ぶなら個人的には“シリウスの伝説”なんだろうが、あいにくCD化されておらず――ということは妥当に“劇場版イデオン”あたりになるんだろうが、果たしてそれでイイものかどうか……
氏の長〜く華々しいキャリアを考慮すれば、ね。
んで、ゴチャゴチャと考えた結果、メロディメーカーとしてのすぎやま氏だけじゃなく、アレンジャーとしての氏の良さも出ている作品を――ということで、この“TV版イデオン1st”なんであります。

そうなんです、このアルバム――何気に、当時としては画期的なアニメ劇伴になっていると思うんですよ〜。
というのも9曲目の“デス・ファイト”と、2ndアルバムに収録されてはいるが、おそらく録音自体は初期のテイクだと思われるナンバー“バトル・フィールド”
これらの曲って構成〜編成が、もろにジャズなんですよね(加えて5曲目の“発動”は、ストレートな“ブラスロック”になっているし)
しかし“ルパン三世”みたいな作品ならともかく、宇宙を舞台にした巨大ロボットの戦闘場面でアドリブバリバリの“ジャズ”サウンドを充てるなんて、あまりに大胆すぎるだろ。
で、案の定というか何と言うか、これらの曲は劇中において使い勝手がかなり悪かったらしく、程なく収録された追加BGMではオーケストラを主体にした、比較的オーソドックスな楽曲が殆どを占めていたのだ。
第1話オンエアの段階で、戦闘場面に“非すぎやまBGM”が多用されているのだから、ある意味尋常な状況ではなかったのだろう(富野氏の寄稿したライナーも、かなり辛いものがあるし)
結局この1stアルバムって、「TVアニメの劇伴としては、意欲的な失敗作」という評価に落ち着くのかもしれないね。
しかし逆にすぎやま氏の音楽性から語るんであれば、非常に魅力的なアルバムだとも断言できるのよ。
緻密に計算されたオーケストレーションによる楽曲たちと、プレイヤーの技量まかせなジャズ&ロックミュージックが、氏特有の力強い各モチーフを中核に添えて、実に見事なコラボレーションを見せているのだから。
至極単純にアルバムコンセプトを推察するなら、さしずめ「理性と本能のせめぎ合い」ってトコロか?(すぎやま氏なりの“イデオン”という極めて個性的な物語への答え、なのかも)

まぁ、どう評価するにせよ、氏の他の作品にはあまり見受けられないタイプの――いわゆる“オンリーワン”な野心作であったのは間違いなかろうて。
最終的には、名曲“コスモスに君と”のインパクトで語られる事の方が多いんだろうけどさ(笑)

FAVORITE CD Act.018
THE BLUES BROTHERS - The Blues Brothers Original Soundtrack


Blues Brothers
ブルース・ブラザーズ サントラ盤
(Amazon)
個人的には、このアルバムって“教科書”なんである。
学生の頃、もしこの映画を観てなかったら――そしてサントラ(当然LPレコードである)を聴いてなかったら、”こういったジャンル”の音楽には一生興味を持たなかったのかもしれないのだ。
そのくらい当時のオレにとって、“ソウル・ミュージック”や“ブルース”、“リズム&ブルース”というジャンルは縁遠い存在だったのだな。
レイ・チャールズ、J・B、アレサ・フランクリン、ジョン・リー・フッカー、キャブ・キャロウェイ、そして何よりもイカシたブルース・ブラザース・バンドの面々。
――そんな往年の名ブルーズマンたちを、当時のアメリカン・ショウビジネスのど真ん中で堂々と再評価してくれたダン・エイクロイドには、いくら感謝してもし足りませんよ。
しかも初心者入門としては、このミュージカル映画という形態が実にドンピシャだったわけで。

というのも“実際の演奏場面&字幕による訳詞付き”映像は、非常に分りやすく音楽そのものの魅力を教えてくれるし――
尚且つ本編のストーリー自体が、音楽にとって一番大事な“精神性”とでも言うべきモノを、かなりストレートな形で伝えてくれるのだな(戯けたコメディではあるが)
例えば有名なTV番組のテーマが2曲だけ(ピーターガンとローハイド)このアルバムに収録されているが、普通だったらパロディ的なお笑いで素通りしてしまうところを、しっかりきっちり“カッコよく”聴かせてくれるのがウレシイよね。
「ここが、ねぐらだ」&キャリー・フィッシャーのバズーカ攻撃は、笑いを取るシチュエーションでありながらも、どこか男として憧れてしまう表現になっているし、そこへ狙い澄ましたようにピーターガン特有のベースイントロが聞こえてくるのだから堪らないよ、ホント。

つか、どーしても映画のレヴューになっちまうな(笑)
ま、エンディングの“監獄ロック”もサイコーだが、クライマックスのライブで演奏する“Everybody Needs Somebody To Love”がやはり無敵王でしょう(なんじゃ、それは(笑))
エルウッドの「You、Me、Them〜Everybody、Everybody」というMCも、トンでもない大バカ野郎たちによる真摯な“魂の叫び”だからこそ、聴いてるオレっちもシンプルにココロを震わせるのだよ……

FAVORITE CD Act.019
RED WARRIORS - Casino Drive


RED WARRIORS
Casino Drive
(Amazon)
さて今回は、天下無敵のハードロック・バンド〜レッド・ウォリアーズの登場だ。
スライダースに引き続き、これまた日本ロック史上〜稀に見る存在感を持ち得たバンドでもある。

根幹はエアロスミス。
そしてビートルズ〜ジョン・レノンへの真摯なアプローチ。
――といった洋楽的嗜好性もそうだが、何よりもこのバンドの物凄さってのは、日本人的なリアリティを全く感じさせないまま(笑)真正面から堂々とロックンロールし続けた事だろう。
悪く言えば、徹底的に“インチキ臭い”バンドってところか。
何せ“ロイヤルストレートフラッシュ・ロックンロール”に“カジノ・ドライブ”だからな〜。
一体、お前らは何処の国の人間よ?(大笑)
ハナっから日本的な情緒〜情景は、欠片も存在しやしないのだ。
が、その“如何わしさ”こそがロックンロールの真髄だと、個人的に大断言。
常々書いているが、ロックなんざ、そうたいした音楽じゃないのさ。
好きな音を好きなように演奏し、リスナーがそのカッコよさに共感できたのなら、もうそれ以上のモノはイランのよ。
シャケのギターがジョー・ペリーばりに美しきカッティングを奏で、ユカイのボーカルがオバカな道化師を気取りながらも、時折り妙にシリアスな面持ちでジョン・レノンへの想いを切々と謳いあげる……

最終的に彼らの残したオリジナルアルバムは、たったの3枚。
まさに閃光のように現れ、そして去っていったレッズ――
そんな彼らの代表曲は、やはり“バラとワイン”にキマリだろ?
あまりに刹那的ではあるが、ゴージャスでノーテンキなパワーに満ち溢れた、この名曲にさ。

FAVORITE CD Act.020
THE POGUES - Peace And Love


THE POGUES
Peace And Love
(Amazon)
「アイリッシュ・トラディショナルのパンク的アプローチに成功した、愛すべき“むくつけき野郎たち”」――
これこそがポーグスというバンドに対する一般的かつ正当な評価であり、そして何気に物凄いトコロなんである。
だってポーグスのしでかした事を、日本のミュージックシーンで当て嵌めて考えてみ?
古来から伝わる民謡の類をパンク風に表現し、それがパロディ的“キワモノ”の枠に収まらずに、普遍的なカッコよさと精神性を伴って新たな音楽(純正ロックとはチト違う)のフォーマットを敷いてしまったのである。
日本でコレをやったとしても、絶対にこういったメジャーな方向へはいかず、エキセントリックなフォークやエスニック風サウンドといったマイナー系へ向かうだろ(“島唄”になっちまうよな、よくて)
ま、ブリティッシュロックってのは本質的にトラディショナル・ポップを含有していたワケだが、ポーグスの場合はこのアルバムを聴いたらわかる通り、サウンドそのものがロックというよりアイリッシュ・トラディショナル(民謡)のストレートな延長なんである(楽曲の中核にバンジョーやアイリッシュ・ウィスル、アコーディオンと、少なくとも普通のロックバンドじゃ使わないような“音”が多用されているのよ)
で、あまり構える事無く、単純にカッコよく楽しげなバンドサウンドとして聴けるもんだから、ポーグスって最高にイカスんだよなぁ(所謂オシャレサウンドからは程遠いがね(笑))

濁声の酔っ払いボーカリスト〜シェーン・マガウアンの一種独特な存在感も魅力的だし、その他のメンバーもこのアルバムを聴いたら判るとおり、非常に素晴らしい音楽性を持ったアーティストたちなのだ(この“Peace And Love”はシェーン以外のメンバーも多数作曲している)
実はこのポーグス――既に解散しちまってるのだが、その理由が「然も在りなん」だったりするのが、このバンドのリアリティでもあるのよな(笑)(此処には詳細を書かないので、知りたい方は調べてくださいな)

兎にも角にも、3曲目の“Young Ned Of The Hill”と13曲目の“Night Train To Lorca”が、特に個人的なお気に入り。
“Night Train〜”なんか西部劇のテーマにピッタリじゃん!――と思いつつ、ここでハタと思い出す。
そーいやこの人たち、アレックス・コックス監督の“ストレート・トゥ・ヘル”に参加してるんだったよな。
アイリッシュサウンドがアメリカ西部に辿り着くってのは、まさに歴史の流れとしても理に適っているワケでさ。
だが、ここで何故かレオーネ作品(イタリア産)に登場する“不細工な西部の男たち”が、ポーグスのメンバーたちと妙に被ってくるんだが(笑)
ポーグス・サウンドのベーシックにあるのは、例えようも無い“土臭さ”と“埃臭さ”と“汗臭さ”……
つまり女子供はすっこんどれ、ってコトですな(笑)


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