PRIVATE CD REVIEW
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FAVORITE CD Act.041
THE JAZZ BUTCHER - The Gift Of Music


Jazz Butcher
廃盤

Jazz Butcher other
Draining the Glass: 1982-1986
(Amazon)
英国流B級ギターポップの真髄を楽しませてくれる、実にゴキゲンなベストアルバムである。

下世話でちょっぴり泣きの入ったメロディは嫌味がなくキャッチーだし、気合の入りまくったビートはパワーポップといって良い程に爽快。
加えてネオアコの枯れたカンジも、聴いていて浸れる事この上なし(カヴァーの"Sweet Jane”とか実に素晴らしいデキ)
とにかくブリティッシュポップ大好きなオレにとって、マストな一枚である。

とはいえ、実を言えば最近までこのバンドの詳細が判らなかったのだな(笑)
随分昔に、ショップの店頭で偶然流れていたこのアルバムを購入して以降、いろいろと調べてみたのだが、"The Jazz Butcher”などというバンドに関する情報は何処にも無くてさ。
80年代後半〜90年代当時は、そのくらい日本のメディアで紹介されていなかったのだ。
中心人物でボーカル・ギター担当のパット・フィッシュなど、本国ではそれなりに名の知れたミュージシャンだったみたいなのにさ。
ほんと昔は、情報ってのが一部の人間によってコントロールされ得るモノだったんだねぇ……
んで、ようやく最近になって、ネット検索で"彼ら”のプロフィールが判明した次第である。
ほんに良い時代になったものよの。

しかし音楽ってのは、そんな二次情報はあまり重要じゃないのかも。
たとえ正体不明のバンドでも20年近く愛聴してきたのだからね(笑)

ま、知れば知ったで、作品を深く楽しめる事には違いないんだろうが……

それと調べてみたら、今回紹介した"The Gift Of Music”はどうやら廃盤になっているらしいのだ。
とにかく彼らは初期の楽曲が素晴らしいので、現在リリースされている別のベストを紹介しておきます。
興味のある人は、是非一度は聴いてみてくれ!(笑)

"Zombie Love”とかサイコーだぞ、うん。


FAVORITE CD Act.042
ARTHUR BROWN - The Crazy World of Arthur Brown


ARTHUR BROWN
The Crazy World of Arthur Brown(Amazon)
まさにアンダーグラウンドな60年代ブリティッシュサイケデリックだ。
ハモンドオルガンはガンガン鳴り響き、ジャズハードロックなビート感は今聴いても相当にキモチ良し。
彼らの代表曲でもある“Fire”などはポップチューンとしても秀逸で、当時の全英チャートで1位にランクされたのも納得である。
――もっとも彼らがチャートインしたのは、後にも先にもこの曲だけなのだが(笑)

やっぱ、フツーに一般性のあるバンドじゃなかったんだろうねぇ。
ビデオで当時の映像を観た事があるのだが、いやこれが何ともキワモノ感全開だったりするのだ。
というのも、アリス・クーパーあたりにも影響を与えたであろう“きっついメイク”といい――
炎を使った過剰なステージパフォーマンスといい――
所謂“シアトリカル・ロック(演劇型ロック)”のルーツとでもいうべき御方なのである。
ま、どーいうモンであれ、“始祖”ってのはやっぱ偉大だよね。

白状すれば、そもそもオレ個人としても、ダムドのルーツ探索の過程でこのバンドを発見したんだし(笑)
つか、デイブ・ヴァニアンとかモロに影響受けていそうじゃん。

んで、このアルバムである。
プロデュースがピート・タウンゼントだったり、ドラマーが後にEL&Pを結成するカール・パーマーだったりするのも楽しいところだ。
“Child of my Kingdom”にフィーチャーされている“口笛”とか、もうミーハーにシビレまくりっス。

ロック史的にも名盤……とは流石に言い切れないが(笑)、68年発表の作品がいまだ廃盤にならずにリリースされ続けているのは、やはり凄いことなんだろうさ。

実際、時折り聴きなおしては、サイケでは在りがちに2〜3時間ぶっ通しで浸りきっちまうし。
やはり個人的なフェイバリットの一つであるのは間違いあるまいて。


FAVORITE CD Act.043
GENERATION X - Valley Of The Dolls


Generation X
Valley Of The Dolls (Amazon)
これはもう単純にカッチョエエ、PUNKなR&R満載のアルバムである。
派手なドラミングといい、印象的なギターフレーズといい、“この手のサウンド”の最も気持ち良い部分を抽出して繋ぎ合わせたようなカタルシスがコレにはあるのだな。

初期PUNKとはいえバンシーズあたりと同時期に活躍していたせいか、あの時代特有の切羽詰った性急さもあまり感じられず、緩急がついて聴きやすい構成になっているのもグッド。
無論、イアン・ハンター(モット・ザ・フープル)のプロデュースも素晴らしいんだろうが、このバンドは他のアルバムもカッコイイからね〜
やっぱ流石は、後のポップスター〜ビリー・アイドルってところか。

もっともヘタすりゃこのカッコよさってのは、薄っぺらなモノと紙一重なんだろうけどさ。
ジグ・ジグとか、布袋とか、そーいうの(大笑)
まぁ、そのチープさも“このバンド”に限ってはタマんなく魅力的なわけだが。

……なんか今回のレヴューは、いつもに増して「カッコイイ」ばかりを連発しているなぁ。
てか実際、他に書く事が無いし(笑)
いや、一応これでも褒め称えているんですよ?

とりあえずお気に入りは“Night Of The Cadillacs”に“King Rocker”といった、一際ビートの効いたヤツ。
もうヘッドフォンでも何でもいいから、思いっきりLOUDにして聴くべし。
最高にカッコイイですから(笑)


FAVORITE CD Act.044
THE WASHINGTON SQUARES - The Washington Squares


The Washington Squares
廃盤

The Washington Squares
Fair and Square (Amazon)
とってもモダンでセンチメンタルなフォークロック、とでも表現すれば良いんだろうなぁ……
アメリカの土着的な音楽を極めて都会的に解釈すれば“こーなる”という、一つの典型例かも。
ブルース、ロックンロールのビートに、アコギと男女混声のコーラスワーク、そしてあまりに秀逸な叙情的メロディ。
この全編に漂う“湿った感”は個人的に大好物なんだよねぇ……何気に凄くポップだし。
しかしね、ず〜っと何か引っかかるもんがあってさ、上記した事以外の要素がオレを惹きつけて止まないっていうかね(笑)

そもそも随分昔に「CD屋のBGM」で聞き知ったバンドだからな〜
詳しいプロフィールも知らんし、当然現在みたいにネット環境もなかったから簡単に調べようもない(“ジャズ・ブッチャー”あたりと同じパターンか)
で、このレヴューを書くために今になって調べてみても、これがまたあまり検索で日本語ページがヒットしないという。
なんか廃盤しまくっているみたいだし。
「あんま日本では人気なかったんだ」〜等と多少ガッカリしながらも、数少ない情報を抽出し、ようやく彼らのプロフィールを知ることに。

何でもこの“ワシントンスクエアズ”って、アメリカでは”スザンヌ・ベガ”と並んでブレイクしていたらしく、当時はそれなりに高評価され“80年代ニュー・フォーク・サウンド”の一翼を担っていたらしいのだな。
しかもメンバーが元パンク(むろんNYパンク)という出自に、今更ながらメチャ納得。
ていうか、オレを惹き付けていた要素って、多分コレ(笑)
なるほどねぇ……このヒトたちのサウンドに感じてきた“カッコよさ”の正体がよーやく判りましたよ。
こういった二次的な情報で、今更ながらに益々このバンドが好きになったり(笑)

で、このアルバムである。
実はもう一枚(Fair and Square)持っているのだが、甲乙付けがたい程に両方とも出来が良い。
ただ初めて聴いたこの“The Washington Squares”の方が若干思い入れが強いため、こちらの方をフェイバリットに決定(〜とはいえ上記したように廃盤なんで、“Fair and Square”もリンクを張っておきます)
内容的にはオールディなフォークやロックに対するリスペクトが大半を占め、一部ストレートなカヴァーもあり。
しかしそのどれもがひどく洗練されており、良い意味でオシャレサウンドの領域にまで到達しているのは実に御見事。
ま、ジャケットのビートニクス風ファッションを見れば、その辺はマルわかりか(笑)
〜とはいえ、オシャレ系特有の軽薄さは皆無であり、むしろ当時的には渋くマニアックな音楽性と言えよう。

もっともあまりに全体的な出来が良すぎるために、いつもみたいな“この一曲”ってのが非常に挙げずらいんだけどね。
で敢えて好みでチョイスするなら、一番最後の“WALLS(POLISH UNION SONG)”かな?
曲名通りポーランドの組合ソングが元ネタだそうで、その欧州的な陰影を感じさせるサウンドはあまりにヘヴィで、心に染み入る事この上ない。

ま、中古屋を回らないと聴けないんだろうが、それだけの苦労をする価値がこのアルバムにはあると思いますよ〜(笑)


FAVORITE CD Act.045
LARO SCHIFRIN - Enter The Dragon


Enter The Dragon
燃えよドラゴン(Amazon)
今回はサントラのレヴューをば。
モリコーネに引き続き、アドレナリン分泌系の作曲家“ラロ・シフロン”の登場だ。
んで、いつもと同様に迷いに迷った結果、断腸の思いで“スパイ大作戦”を切り捨て“燃えよドラゴン”に決定!
つか、両メインテーマを聴き比べて「どっちが好きか選べ」なんて言われたら、そりゃ困るだろ―― オレらみたいなリアルタイム世代だと、特にな。

しかし改めて聴き直してみると、やっぱ燃えるッスわ。
お馴染みのブルースリーの怪鳥音も、他の月並みな曲だったら邪魔に感じるハズなんだけどね〜(ほら、よくある台詞入りとかさ、聴いてて妙に気恥ずかしくなるヤツ(笑)
このテーマに関しては“アリ”に思えてしまうし、むしろ聴き馴染んだ今となっては無いと絶対に物足りなく感じるハズなんである。
もっとも、初めから“怪鳥音ありき”で作曲されたかどうかは微妙なカンジ。
一応無くても“アリ”な構成にはなっているみたいだしの。

ブルースリーといえばジョン・バリーの“死亡遊戯”もかなりの名盤だと思うが、やはりインパクトではこちらに軍杯が上がるかね。
〜っていうか世間一般で“ブルースリー”といえば、何を差し置いてもこの“燃えよドラゴン”がバックに流れてくるもんな(笑)

そもそもこのラロ・シフリンってお方、スパイアクションにおいても、あの有名な“007のテーマ”に匹敵するサウンドを完成させているからね〜
楽曲の持っているイメージ喚起力ってヤツが、明らかに半端じゃねぇのよ(“ダーティーハリー”でも、あの手のアクション映画の典型的サウンドを作っちまっているし)

ともあれ“燃えよドラゴン”にハナシを戻しますと――
メインテーマ以外のBGMも含め、ファンクなビートにのったストリングスやホーンセクションが、最上級にカッコイイんである。
まぁその、実際に何がどうカッコイイかと問われても困るのだが、そうだなぁ……
基本はスタイリッシュでクールな表現なのに、実際は相反するように燃えながら聴けてしまう、ってところかね?
――“漢気サウンド”っていうか、ハードボイルドっていうかさ。

つか今になって気が付いたが、このアルバムって所謂“愛のテーマ”系の楽曲が殆ど無いのな(笑)
サスペンス&アクションの音楽ばっかり。
こりゃ、確かに燃え燃えだわ〜


FAVORITE CD Act.046
MOTT THE HOOPLE - All The Young Dudes


Mott The Hoople
すべての若き野郎ども(Amazon)
さて、このコーナーでも事あるごとに触れていたイアン・ハンター率いる“モット・ザ・フープル”の登場である。
んで、今回は比較的に迷わずに、この“すべての若き野郎ども”をフェイバリットとしてチョイスすることに。
っていうか、デビッド・ボウイプロデュースの本作は、誰もが認める“ブリティッシュロック史に燦然と輝く名盤”の一枚と断言できよう。
何の躊躇があるというのか。

〜等と、ロックファンが権威主義に走っても致し方なし(笑)
とりあえず、各ナンバーの紹介などをば――

1曲目の“Sweet Jane”はあまりに有名な“ヴェルヴェット・アンダーグラウンド”のナンバーなんだが、これのカヴァーをしているミュージシャンって何気に多いんだよね〜。
まぁそれだけ皆にリスペクトされているんだろうけど、この“モット版スイート・ジェーン”はオレの知る範囲でも最高ランクの出来のよさと言える。
――決してデビッド・ボウイ〜ルー・リード繋がりの贔屓目だけでモノを言っているんじゃない……と思う(笑)

で、カックいいダーク調ロックンロールな“Momma's Little Jewel”を挟み、次がこれまた最強のポップナンバー〜表題曲“All The Young Dudes”である。
いや〜やっぱこれを提供したボウイは天才だわ(“ジギースターダスト”といい、この時期の彼の仕事はあまりに神がかっているッス)
グラムロックのBest5をあげろ、つったらこのナンバーはまず間違いなく入るんじゃね?

その他にも、モロにストーンズな“Jerkin' Crocus”といい(これホントにキースが作曲してねぇの?)、後にセルフカヴァーされる“Ready For Love”といい、とにかく名曲佳曲ぞろいのアルバムなんである。

まぁ、グラムというには多少スレンダーな内容かもしれないが(笑)、とにかくブリティッシュロックファンなら必聴な一枚。
“クイーン”の兄貴分ともいえる、この“モット・ザ・フープル”―― マジにお薦めですよ〜ん。


FAVORITE CD Act.047
PINK - Daydream Tracks


PINK
廃盤

PINK
PINK THE BEST (Amazon)
“チ・ン・ピ・ラ”のDVDって発売されてないんだねぇ。
最近になって急に観なおしたくなって検索をかけてみたんだが、何かリリースがほぼ絶望的なご様子―― 良い映画なのになぁ。
個人的には“探偵物語”などに代表される昭和アウトローズドラマ(なんじゃそりゃw)の幕引きにあたる作品なんであります(あの異様に爽快なオチも含めてね)
まぁ最近じゃ“ブレードランナー”みたいな例もあるんで、ほのかな期待をしながらDVD化を待つしかないってか。

仕方がないんで主題歌“PRIVATE STORY”が収録された“PINK”のミニアルバムを引っ張り出し、サウンド的に“チ・ン・ピ・ラ”世界に浸ることに(笑)
ああ、やっぱいいわ……確かこのメロディ、あの泣けるクライマックスでもインストで流れていたんだよなぁ……

つか、映画音楽の良さって、こーいう“聴き方”ができるトコロだよな。
一種のメモリアルっていうかさ。
こと家庭用ソフトが普及していない時代では、パンフレットと供にマジ重宝していたものである。

しっかしこの“DAYDREAM TRACKS”、たった5曲しか収録されていないんだが、どれもこれもメチャ出来がいいんだよね。
ま、凄腕ミュージシャン'sの鳴り物入りでデビューした“PINK”の初期作品集である。
そりゃ気合の入り方も尋常じゃないわな。
今になって聴くとやたらキャッチーなデビュー曲“砂の雫”に、件の“PRIVATE STORY”
ある一定の世代には“SONY MUSIC TV”で心底スり込まれているであろう、“ZEAN ZEAN #0”
――加えてあの名サントラ“荒野の七人”のカヴァーである。

いやぁ、もう最高です。
多少“ポリス”っぽい部分も含めて、完全に好みの方向性。
未聴の方は、是非一度―― と書きながらも、調べてみるとこのアルバムも実は既に廃盤だと判明。

“チ・ン・ピ・ラ”といい、このアルバムといい、何とも紹介しがいのない事よ(苦笑)



FAVORITE CD Act.048
LOU REED - Transformer


LOU REED
トランスフォーマー
(Amazon)
まさに名盤だよなぁ……
デビッド・ボウイとミック・ロンソンがプロデュースしたルー・リードのセカンドアルバムは、やはりものの見事にグラムロックでございます。
ルーのシビアなソングライティングは相変わらずだが、やはり編曲で参加した御二方のポップセンスが凄すぎ。
とりあえずいろんな意味で不安定なヴェルベット時代と比べてみても、今作の“堂に入りかた”はあまりに明確なんでございます(メジャー的、ともいう)
ホント、これでブリティッシュロックじゃないってんだからなぁ……

“ルー・リード的わかりやすさ”という点では、ストレートにデカダン・コンセプトな次回作“ベルリン”に軍配が挙がるんだろうが、やはりちょいチープなロックンロールの味わいという部分で、この“トランスフォーマー”の方が若干好みの方向か。
――つか、どっちもありえないほどの出来の良さなんだけどね(笑)

何はともあれ、ロックファンなら必聴の一枚だ。
名曲“ワイルド・サイドを歩け”はモチロン、メロディの美しさに圧倒されるバラード〜“パーフェクト・デイ”と“サテライト・オブ・ラヴ”、いかにもボウイ〜ロンソン的なグラムの楽しさ満載の“ハンギン・ラウンド”〜等など、捨て曲は一切無し!

んで、その中でも個人的に一番思い入れがあるのは、何と言っても“アンディの胸”
理由は……恥ずかしいからここには書きません(笑)
ヒントは“ホークウィンド”の“SILVER MACHINE”と同じ理由、という事で。
聴いて頂ければワカる……のかなぁ?

あ、それともしこのアルバムを購入するのなら、絶対に日本版がお薦め。
ルー・リードは、最低一回は和訳を読みながら聴かないとね〜



FAVORITE CD Act.049
ちわきまゆみ - Attack Treatment


CHIWAKI MAYUMI
廃盤

CHIWAKI MAYUMI
ポッパーモスト(Amazon)
またもや廃盤である。
このような名盤が既に中古を探さなきゃ聴けないとは、ホント世も末である。
〜とはいえ、今回紹介する ちわきまゆみ の、一番カッコよかった80年代のBEST盤がリリース中なのには、ホッと一安心。
このまま埋もれさせるには勿体無いからなぁ……

んで、この ちわき嬢―― 日本でグラム〜パンク・ロックをキワモノギリギリの線で演らせたら、最高にイカス女性ヴォーカリスト(の1人)でありました。
ルックスといい、声といい、彼女自身の趣味性といい、その人工的な存在感も含め、まさに作り手からしたら他では得がたい絶妙な素材だったのかもしれないね。
その証左に、彼女のアルバムに関わるミュージシャン連中のスンゲェ事スンゲェ事。

今回紹介する“アタック・トリートメント”だけとっても、作曲に岡野ハジメ、ホッピー神山、赤城忠治、下山淳、沖山優司、吉田仁、成田忍、そしてワタクシの敬愛する“The Willard”のJUNといった、まさに錚々たるメンツが参加しております。
つか、当時尖がっていたアクの強い連中が、寄ってたかって「大ロックンロール・パーティーなアルバム」を作り上げてしまったような印象か(笑)
中でも岡野の“シネマキネビュラ”、ホッピーの“スキャンドール”、下山の“ピストルソング”などは、サイケグラムとして白眉の出来。

それとJUNの“遊星少女フィオラ”―― これって実はWillardのナンバー〜“RISING RIDER DRIVE”の雛形なんじゃなかろうか?(つかどー聴いても同じ曲)
ここからは推測なんだけど、当初JUNはこのアルバムに“RISING RIDER DRIVE”として曲を提供したのだが、岡野Pに ちわき のイメージに合わないとして、歌詞をファントムギフトのピンキー青木へ代えられてしまったんじゃないかね〜。
歌詞の変更自体は当時の雑誌で読んだことがあるし、Willardの“Mercy For The Rabbit”のリリース形態や時期を考えると、案外妥当な線かも。

……なんか作曲陣についてばっかりのレヴューになっちまったが、それも ちわきまゆみ の特性なのだろうね。
そもそも個人的に一番印象に残っている彼女の映像が、柴山俊之のライブにゲスト出演した時のモノだってのがな(笑)

いやぁ、あの時の“Suffragette City”は、ホントイカシてたよなぁ……



FAVORITE CD Act.050
SWEET - Desolation Boulevard


SWEET
荒廃の街角(Amazon)
リアルタイムでは知りもしなかったバンドである。
まぁ年齢を考慮すれば仕方が無いのだろうが、それにしたってなぁ……カスリもしなかったってのはね。
それほどに知名度が低かったという事かの。
何でも“T.レックス”や“デヴィッド・ボウイ”〜“クイーン”の影に隠れてしまった不遇のバンドという事らしいし(笑)

結局“ダムド”にハマり始め、彼らのカヴァーした“Ballroom Blitz”(彼らによるライブアルバムのタイトルにもなっている)を聴いて、ようやく辿り着けた『知る人ぞ知るバンド』が、彼ら“スイート”である。

グラムから始まり、ハードロック、後のヘヴィメタルへと続いていくサウンド、と表現すればピッタリくるか。
王道ブリティッシュポップなメロディはかなりキャッチーなモノとなっていて、“クイーン”ばりのコーラスワークも実にキマッており、その確かな演奏テクも含め、何故この音でさほどメジャーになれなかったのか、個人的にはヒジョーに謎であります。
当初はかなり軟派なアイドル路線で売ろうとしてたらしいし、結局それが最後まで尾を引いたのかなぁ……

〜とはいえ、この“スイート”―― 後にかなりの有名ミュージシャンがフォロワーとなっているのも事実でありまして(無論、ワタクシの大好きな“ダムド”も含め)、実際“それだけのサウンド”を聴かせてくれるのであります。

今回紹介する4thアルバム“Desolation Boulevard”が、これまたポップ+ハードロック的に良いできでしてね。
捨て曲は一切ナシで、いちいち投入されているアイデアも多彩かつ豊富。
一気に最後まで聴かせるパワーを持った、ブリティッシュロックの名盤と断言しても良ろしいかと。
――つか、個人的には最高傑作と評される5thアルバム“GIVE US A WINK”より、何故かこちらの方が好きなんだよな〜(このバンドに限らずワタクシ、そーいうパターンが多いんである。サウンドが頂点に達する直前が、一番魅力的に聴こえるっていうかさ)

最高にキャッチーで爽快なコーラスワークを聴かせる“I Wanna Be Committed”や、スピーディでビートの利いた“Set Me Free”が、特に最高っ!(ちなみに英国版と米国版は内容がかなり違うんで、購入の際はご注意を)

マジ、オススメっす!!

  
 


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